W杯

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4年に一度の祭典、サッカーワールドカップ。
史上最強と呼ばれた日本代表は、惜しくもサッカー王国ブラジルに敗れた。
結果だけを見れば、ベスト32で大会を去った。

しかし、心を動かされたのは勝敗ではない。
4年間積み上げてきた選手たちの覚悟。
組織を率いる監督のリーダーとしての人間性。
そして、日本代表の団結力だった。

試合は90分。
しかし、その90分のために4年間を逆算して生活している。

休みたい日もある。
遊びたい日もある。
好きなものを食べたい日もある。
怪我により練習ができない日もある。
日々精進していても批判される日もある。

それでも、自分で決めた目標のために日々積み上げる。
4年間だけでなく、志した時から全てを捧げている選手もいる。

「量より質」と言われるが、その言葉には少し違和感を抱いている。
なぜなら、『質』とは圧倒的な量を積み重ねた先にしか生まれないものだからだ。

量をこなすからこそ、失敗する。
失敗するからこそ、改善策を絞り出す。
その試行錯誤と挑戦の繰り返しによって、より高い『質』へと磨かれる。

ここで大きな2つの壁が立ちはだかる。

1つめは、そもそも人は”量をこなす”ことが苦手なのである。
・「やろう」とは思っているのに、何かしら理由をつけてやらない怠惰の極み。
・「どうにかなるでしょ」「やってみたらできる」という根拠のない過信。
・「必要に差し迫った時にやればいいや」という準備ゼロの先延ばし。

日々積み重ねとは相反する理由ばかりである。
”練習”すらこなしていない人が”試合”に出たところで、望むような結果が出るはずもない。

2つめは、”試行錯誤”をしているか?
・課題意識を持たずに、量だけをこなしている疑似満足。
・「量をこなしているから成長しているだろう」という成長への過信。
・ルーティンが確立しているので、内容を見直すことが面倒な変化への抵抗。

最初から正解だけを引ける人なんていない。
だからこそ動く。そして挑戦する。
失敗と改善を繰り返し、小さな成功体験を自信へとつなげる。

大部分の人がクリアできない「量をこなす」という第一関門をクリアしているなら
あとは試行錯誤を楽しみながら『質』を磨き上げることができる。

練習 ⇒ 目指すプレーに対し、今の練習方法で合っているのか? どれくらいの期間で効果が出るのか?
食事 ⇒ どのような食事を摂取することで、パフォーマンスを上げることができるのか?
睡眠 ⇒ どれくらいの時間が必要で、睡眠環境が整っているのか?

情報をアップデートし、徹底的な自己管理を実践すること。
磨いて磨いて磨き上げて、世界と戦える『質』になる。

コーチングの話でこのようなエピソードがある。
「自分は何をやればいいんですか? 何をすればいいか教えてくれませんか?」
すると返ってきた答えが
「お前のことは、お前が一番分かってるだろ。まず、お前の方から私に教えてくれ。」

選手側はこのように認識していた。
『コーチとは欠点を見つけ、答えを教えてくれる存在』
そうではない。プレイヤー自身も考えなければならないのだ。

そして、コーチの仕事は答えを与えることではない。
コーチとは、対話を通じて、その人の内発的な気づきと可能性をどこまで引き出せるか。
そこに価値がある。

仕事でも同じことが言えるだろう。
部下を思い通りに動かすことではない。
その人の可能性を引き出すことが、本当の指導である。

そのようなコーチングとリーダーシップを、日本代表を率いた森保監督からも感じた。

インタビューや会見では
負ければ「私の責任です」
勝てば「選手たちが素晴らしかった」
責任は自分が負い、手柄は選手へ渡すコメントが多い。

代表から外れた選手にも直接連絡を入れたり、スタッフ一人ひとりへの感謝も忘れない。
「戦術がない」「交代が遅い」「辞めろ」など、多くの批判を受けることもあったが
そんな中でも感情的にならず、反論もせずに、ただ自分がやるべきことだけを続ける。

試合中でも気になったことは即メモをしている。
その姿は中継でも何度も映し出され、森保監督のメモは「デスノート」とも呼ばれている。

怒鳴って支配したり、一度ミスしたから外すようなことはなく、コンディションが悪ければ戻るまで待つ。
常に対話を重視し、戦うために譲れないところは選手に強く要求している姿も映し出されている。
そこからは、選手との距離感も絶妙だなと感じる。

選手を信じ、力を発揮できる環境を整える。
だから信頼関係が生まれチームが戦う集団となる。
本当に強い組織とは、人と人が繋がっている組織なのだと思う。

もう一つ感じたことがある。
挑戦したことには責任がある。
しかし、『挑戦しなかったことにも責任がある』ということ。

悪く思われたくない。
文句を言われたくない。
失敗したくない。
落ち度を作りたくない。

だから発言しない。
だから行動しない。
だから挑戦しない。
だから判断を下さない。

責任を負うことに臆病な人ほど、責任を回避する方法を熟知している。
だからこそ、他人の責任には敏感であり、時に厳しく追及する。

挑戦せず、自分を安全な場所に置くことも一つの選択である。
「環境が悪い」「あの人が悪い」「自分には責任は発生していない」など、自分以外に原因を求めたくなることもある。

判断しないことも一つの判断であり、挑戦しないことも一つの選択である。

残念ながら、どれだけ頭を動かしていたとしても、行動してなければ周囲を納得させる主張にはならない。
『量』にあたる練習はしないで、検証できない試行錯誤ばかりしているのは、口だけ達者なプレイヤーであるからだ。

挑戦しなかった責任も、自分が引き受けなければならない。

日本を代表する監督や選手たちは、日々の積み重ねによって『質』を高め、自分との勝負に勝ち続けてきた人たちである。

だからこそ、あれほどの充実感と悔しさが生まれる。
そして、その姿が見る人の心を震わせる。

『不足で動けば疲弊する。承認で動けば迷走する。信念で動いてこそ人は安定する。』

夢破れたが、また前へ前へと歩み続ける。
着実に強くなっている日本代表をこれからも応援したいと思う。

日本代表から教わったのは、サッカーだけではなく、生き方だった。

感動をありがとう。

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