社会人として経験を積んでいくと、いつか“役職”がつく日がやってきます。
主任、係長、課長、部長、社長など、“長”とつく役職名が多いですね。
でも、そもそも役職って何だろう。
「偉くなること?」
「人に指示できる立場?」
…いやいや、そんな薄っぺらい話ではありません。
役職とは、権限を振りかざすのではなく、より広い『役割』と『責任』を引き受けることであり、
”上に立つ人”ではなく、むしろ『背負う人』である。
そして、その背負う人(役職者)が組織から求められること。
それが、マネジメントです。
マネジメントの父と呼ばれている『ピータードラッカー』
日本国内のみならず、世界中のバイブル的な存在です。
「マネジメントとは、チームの力を最大限に発揮させること」と、ドラッカーは説いています。
つまり、“俺についてこい!” ではなく、“あなた達が活きる環境を整えるのが私の仕事です”というスタンス。
ということで、今回は『ドラッカーに学ぶマネジメント論』について書きます。
■役職者としての姿勢とは?
どのような人が役職者としての姿勢なのでしょうか。
① 責任を引き受ける覚悟がある
トラブル時に「誰のせいだ?」ではなく「どう動くか?」を優先できる人
事実と向き合い、当事者意識を持って向き合える人
② 育成&支援に喜びを感じ、任せることができる
自分の成果を出すことではなく、人が育つことに価値を感じられる人
③ 多面的な考えを持ち柔軟な対応が可能
部下・上司・お客様・その他ステークホルダー、業界や社会情勢、組織のフェーズなど、多面的に物事を見られる人
物事の本質を見極め、様々な方法で改善を推し進められる人
④ 冷静と情熱を両立できる
感情に流されることなく、どっしり構えて話しを聞ける人
一貫した判断軸を持ちながら、周囲を鼓舞できる人
「正しさ」+「伝える」=「動ける空気感」を生み出せる人
⑤ 正解がない中でも決められる
“どれも正解じゃないけど、どれかを決めなきゃいけない”の時に、前に進める人
完璧よりもスピードと方向性を大事にできる人
”決めて、動いて、修正する”瞬間瞬間でベストを尽くす人
こんな役職者がいれば、信頼しまくりでしょう。
自身を振り返り、身の毛がよだつ思いです。。。
逆に、役職者としてダメそうな人を羅列してみます。
こんなのは、居酒屋で上司の愚痴ばっかり言っている奴かAIに聞けば無限に出てきます(笑)
・同じ失敗を繰り返す人
・言い訳が多く、失敗を全て外部要因のせいにする人(特に部下のせいにする奴)
・できない理由ばかり述べて、それを周囲に理解を求める人
・気分で言うことがコロコロ変わってしまう人
・学歴や実績など、過去の栄光をいつまでも言葉に発している人
・常に注目を浴びたい人
・他人の手柄を奪う人
・他人の手柄を褒められない人
・他人の弱みばかりを指摘して、能力と気力を削いでしまう人
・指摘された時に、怒りや悲しみなどの感情的になってしまい冷静に聴くことができない人
・目の前の出来事に左右されやすい人
・他人から嫌われることを避ける人
・事を荒立てることを避けてしまう人
・知らないと言えない人
・教えを乞えない人
・大事なコトをベラベラ喋ってしまう人
・周囲に相談もしないし、周囲から相談もされない人
・定期的に勉強しない人
・常に自分を基準として考えている人
・ずっと考えてはいるが、決められずに動けない人
・思い通りに事を進めたいが、自ら動くのではなく他人を使って物事を進める人
・発言した言葉に責任を取りたくないから、手形を切るような発言を避ける人
・不健康な人
…たぶん、誰かの顔が浮かんだはず(笑)
なぜ、このようなことを書いたのか。
それは、『他人を活かすには、まず自分を知ることが必要』と、ドラッカーは説いているからです。
自己分析は、未来への”始まり”です。
■ドラッカーが語った“真摯さ”
ここからが本題です。
ドラッカーは、最重要資質として『真摯さ』を挙げています。
愛想良くしてご機嫌を取ったり、教えを乞われているわけでもないのにお節介で教えまくったり、本来部下がやらなければならない仕事に首突っ込んで助けたり。それは、役職者としての仕事なのだろうか。
『真摯さ』とは”一貫した姿勢”と”誠実な判断”
高度な仕事を要求し、基準を下げることはしない。むしろ時間と共に基準を上げていく。そして、自らにも課する。
すぐに手を差し伸べることはせず、自助努力することが成長の本質であることを理解している。
だいたいこの手のタイプは、愛想が悪く、とっつきにくくて、怖がられていて、人付き合いもよくない。
しかし、人としては好かれることはないが、発言に一貫性があるので信頼を得る。そして、多くの人を育てる。
逆に、真摯さを欠く人は、どれだけ賢くても器用でも、組織を壊す要因となる。
自身が役職者を任命できる立場であった場合、このような人は選ぶべきではないとドラッカーは言っている。
①強みよりも弱みに目を向ける者を任命してはならない。
②何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つ者を任命してはならない。
③真摯さよりも頭の良さを重視する者を任命してはならない。
④部下に脅威を感じる者を昇進させてはならない。そのような者は人間として弱い。
⑤自らの仕事に高い基準を設定しない者を任命してはならない。
知識もさしてなく、仕事ぶりもお粗末であって、判断力や行動力が欠如している方が組織にとって無害なことがある。そのまま表現すれば、居ても居なくても人畜無害なタイプだからです。
しかし、知識が豊富で器用に仕事をこなしても、真摯さに欠けていては組織を壊す要因となる。それは、組織にとって最も重要な資源である”人間”を攻撃し破壊するからだ。
上記の②には、続きがある。
『誰が正しいか?ではなく、”何が”正しいのか?』を求めることが真摯さであるが、
『正しい答えをみつけることではなく、正しい”問い”を探すこと』
⇒間違った問いに対する正しい答えほど、役に立たないものはないからである。
例えば、、、
【問い】「上司のご機嫌を取るには?」⇒【答え】「話し出すと面倒くさいけど、話しを聞いてあげる」「なんなら飲みにも付き合ってあげる」「褒めて気分良くさせる」
コレ、どれだけ答えを出しても、そもそもの問いが正しいのでしょうか?
ましてや、『ご機嫌取って自分の評価を上げよう♪』って思ってたら、仕事に対する真摯さがあるのでしょうか。さらに、この手法で昇進してしまったら、きっと部下に対し、自分へのご機嫌取りを求める可能性もあるでしょう。
ドラマに出てくるような、上司の顔色は気にするが部下には仕事と責任を押し付けるゴマスリイエスマンには、真摯さはない。
『部下をつけた時に、その部下が活き活きと仕事できているか?』
役職者として、真摯さの判断基準となるだろう。
◆ コミュニケーションの本質とは?
「コミュニケーションの成否を決めるのは、話し手ではなく受け手である。」
こちらもドラッカーの名言。
どんなに正しいことを話しても、相手が理解し、行動に移せなければ意味がありません。
“伝える”だけではなく“届く”ことで、より強固な信頼関係が生まれるでしょう。
一方的な伝達ではなく、意見を求められているんだな。
話しを最後まで聞いてくれる。
頭ごなしに否定されないな。
任せてもらえているから期待されているのかも。
気づきのチャンスを与えてくれているんだな。
言いづらい内容だったけど、本音で話してくれているな。
今、取り組むべき内容を話してくれているんだな。
いろいろ考えて接してくれているんだな。
役職者は”届ける”準備が必要です。
時間は有限なので、ダラダラ無駄話しする時間は勿体ない。
最小限の時間で、お互い効率良く、未来に向けて進むことです。
過去のブログで『教育論』や『老害』など
コミュニケーションについて書いているので、そちらをご覧ください。
◆基本と原則
「マネジメントとは、チームの力を最大限に発揮させること」この軸はブレてはいけない。
いろんなことに首を突っ込みすぎて日々忙しくしているプレイングマネージャー化になってしまうのも
任せることなく全て自分でやってしまうから周囲が成長しないのも
マネジメントの本質を知らないからである。
そりゃ、疑ってばかりいれば、萎縮してしまいます。
任せられない人には、右腕は育ちません。腕がちぎれます(笑)
マネジメントを知ることやマネジメントすることが正義でもないし、役職者を目指さなくてもいいんです。「役職は無理だ~向いてないわ~」「プレイヤーとしてのし上がっていくぜ」それでもいいのです。
ただ、役職者ともなればマネジメントは切り離すことはできない。
マネジメントの”基本と原則”を学ぶこともなく、感覚で始めてしまうほど恐ろしいことはない。
自走し続ける最強の組織を作り上げていくのが、マネジメントの本質だと思います。
肩書きは名刺に書けるが、覚悟は行動にしか表れない。
役職者とは、『背負う』と決めた人のことであり、
その覚悟がないなら、ただの“偉そうな人”でしかない。
そりゃ、背負ってなければピーチクパーチク好き勝手なことを言えるわけです。自分の発言に責任なんてものはないですから(笑)
是非、一度はピータードラッカーに触れてみてください。