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「現金支払いへの対応を原則義務付け」
2018年7月に中国がこのような発表をした。

現金に馴染みがある日本人は「ん?どういうこと?」となるような話だが、
中国国内では「WeChatペイ」「アリペイ」などのモバイル決済が普及されている。

その普及したモバイル決済の弊害として現金支払いを拒絶する店舗が増加しているので
冒頭の「現金で支払いを受けても、お釣りを用意して対応しろよ」という義務付けが発動されたのだ。

観光地、飲食店などで現金支払いを断るということは消費者の権利が損なわれており
取引に使えない紙幣や硬貨を持っていることに意味があるの?と人民元としての存在意義が問われかねない。
全ての取引が仮想通貨で可能になった場合は、それぞれの国の貨幣価値はどうなるのだろうか。

過去に3回ほど中国に訪れたことがある。
その頃の決済方法はもちろんお札や硬貨であった。
かつて世界を席巻したMade in JAPANと謳われた高品質生産国で治安の良い国とする我々日本人観光客でも、札で支払うと現地の人に偽札かどうか確認された。時には店員の独断でこの札は使えないと札を返された。
それくらい偽札が横行していた時代背景がある。

ちなみに当時の中国がどんな感じだったかというと、平和ボケしている日本人には常に刺激的な日々であった。
人混みを歩けば虎視眈々と鞄を盗もうと狙われ、少し目を離した隙にチャック(ズボンではない)を半分開けられた。ポケットにも手を突っ込んでくる。
飲食店では頼んでもいないメニューがレシートに追加されていることも当たり前で
世界共通のマクドナルドなら大丈夫だろうと訪れたら釣銭はカウンターにポイッと投げられ
店内の机と椅子はバラバラで、床にはポテトやゴミが散りばめられていた。
街中を歩けば小学生にもならない子供が「give me money」「お金クダサイ」と連呼しながら後をつけてきた。
急に便意に襲われ公園のトイレに駆け込んだら、和式便所にはウンコがてんこ盛りでお尻を拭く紙なんて用意されていない。用が済んでもウンコを流さない人が多数いるためウンコタワーが出来ており、トイレの水圧が弱すぎて流せない状態である。
他にも、パトカーの目の前で原チャリのおじさんが路線バスに轢かれても見て見ぬふりだったり
偽物ブランドの時計を手にもって人混みの中で押し売りしてきたり
ホテルのスリッパは片方しか用意されておらず、他の部屋ではドアを開けっ放しで夜中ずっと騒いでいたり
日本では考えられない光景がそこにはありいろんなことに衝撃を受けた。

この経験をしたのは上海万博あたりの2~3年の間だったから約10年以上前になる。
それくらい治安もマナーも悪い時代で、日本からすれば民度が低いと言われても仕方がない時代である。

そもそも中国紙幣は高額紙幣が存在しない。最高の100元札は≒2,000円位
物価上昇中&経済発展中に最高紙幣が2,000円札では財布がパンパンにナッチャウヨ。
だけど、偽札&盗難が日常的では100元札超の高額紙幣はリスクが発生する。
では、「安全性と生産性を求めてキャッシュレス決済に移行しよう」というのは非常に理にかなっている。
ってことで、お釣りなんて用意しないし、レジがあれば盗まれる心配があるので防犯的にも紙幣&硬貨を扱いたくなくなる心境は当然のことである。

ちなみに、キャッシュレスだがクレジットカードではなくモバイル決済のQRコードを使用している。
個人間での送金が無料で行える利便性とQRコードでは専用リーダーやタブレットを用意する必要がない。
コロナ前になるが、中国と取引している経営者から聞いた話しでは
中国現地で支払いをVISAやmasterなどのクレジットカードで支払おうとしたら現地の人に笑われたそうだ。

冒頭の義務付けが2018年ということは、今から4年前の出来事。
自分が中国に訪れたのが10年~12年前のこと。
その間に物凄いスピードで発展を遂げ、仕組み自体を変えている。
現在の日本と2010~2012年頃の日本で劇的な変化をしているのだろうか。

偽札がなかなか作れないと言われている精巧な技術による日本紙幣も
中国からしたらそんなのに原価をかけてどうするの?
もっとテクノロジー開発やセキュリティ対策などに投資した方がいいんじゃないの?
と笑われているかもしれない。

日本のゴールデンタイムによるテレビ放送はエンタメ系が多く、諸外国の状況などを放送している番組はない。
視聴率を取るのがテレビ放送の目的だと思うが、視聴率を取るための内容がそういうことだ。

現状を把握するためには諸外国の取り組みにも目を向け、どのような発展を遂げているのか知る必要がある。
今年の1月には中国・広州市で、電気自動車による全自動運転の路線バス運行が開始されている。

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