『教育とは教えることではなく、新しい経験をさせることである』
これは、教育について私なりの考えになるので”教育論”になります。
教育論で重要視していることがある。
ビジネス用語の『ティーチング』と『コーチング』と『フィードバック』に例えるとわかりやすい。
『ティーチング』・・・知識やスキルを教えること【答えを与える】
『コーチング』・・・話しを聞いたり質問することで、気づきや解決策を考えさせる【答えを引き出す】
『フィードバック』・・・行動や結果について、評価や意見を伝える【答え合わせをする】
自分が携わることになった時、各項目についてどれくらいの割合で重要視しているか数値化してみるとこんな感じになる。
『ティーチング』10% 『コーチング』70% 『フィードバック』20%
圧倒的に”コーチング”に力点を置いています。
では、各項目ごとの考え方を説明します。
■『ティーチング』【答えを与える】
極論言ってしまえば、教材だけあれば一人でどうにかできるモノ。本や動画などで知識を得ることは可能である。
例題:「スクワットすると足が太くなるからやりたくな~い」って人がいます。
その人が太ってようが痩せてようがそもそも認識が違っているので、お伝えすることにします。
「スクワットはやり方によって足が細くなる場合と太くなる場合があって、細くなりたいなら正しいフォームでやることが大事だよ。正しいフォームってのは次の5つに注意ね!
①足は肩幅まで広げる ②つま先は膝より前に出さない ③しゃがむときは膝ではなく股関節を動かす ④お尻を後ろへ突き出すようにしゃがむ ⑤両膝はやや外側に開く
足が細くなる理由は、運動によるカロリー消費と大きな筋肉を動かすことによって、むくみや脂肪が減少するから。負荷や回数は、自分の体重以上の重りを使わない自重トレーニングで回数は多くこなしましょう。
逆に太くなるパターンは、2つね。
1つ目は、間違ったフォームでやること。スクワットする時に膝がつま先より前に出ていると太もも前側の筋肉である「大腿四頭筋」ばかり刺激されたり、体を起こす動作の時に踵(かかと)まで上げて背伸びをするとふくらはぎばかり刺激され、バランスよく全体への負荷がかからないので局部的に太くなりやすいわけ。
2つ目は、フィットネスジムなどにあるダンベルや筋トレマシーンで、数回くらいしかできないほどの自重以上の高負荷でトレーニングをすると刺激を与えすぎて筋肥大効果が発生し筋肉が太くなるのよ。」
・・・残念ながら、自分はこのような知識を全て丁寧に教える行動は基本的に取らないです。
自分が取る行動パターンは
知識不足を指摘して、正しい知識が記載されている本やURLやYouTubeを紹介する。以上。
理由はこんな感じ
・代替がきく(Webでも他の人でもOK)
・答えだけを伝えていることに時間を使っているから
・相手は聞いているだけなので、考えることではなく覚えることに注力する
・知識(答え)を伝えたとしても、知識ひけらかし系で相手や周囲がうんざりしている可能性がある
・相手の熱量がこちらが思っているよりも低いことがある
・本当に足を細くしたいなら、自分自身で調べてスクワットが習慣化されているはずである
目的は、知識不足や間違った認識をしているので、正しい知識や情報を伝達するだけなのです。
と、ここまでだとめちゃくちゃ冷たい人間ですが、3つ気を付けている点があります。
①興味を持たせる
ティーチングの方法として教育係&先輩&講師&先生など、丁寧に教える人が付き添う場合もありますが、学校での授業を思い出してください。自分は授業中は退屈だった記憶がほとんどです。理由は、先生が教科書に書かれている内容を読み上げているだけなのでつまらないんですよね。だけど、興味を持たせるようなボキャブラリー&オリジナリティ溢れる伝え方で親近感がある先生は人気だったと思います。伝え方には工夫が必要。
②主従関係にならないようにする
教える側と教えられる側だと、圧倒的に教えられる側の立場が弱いケースが多い。なので、アプローチ方法によっては主従関係になってしまう。例えば、教える側が「あれやれ。これやれ。とにかくやれ。〇〇が不足してるからこれ読んでおけ。言ってることわかった?」だと『自分は無知だからまずは聞いて指示を仰ごう。言うことを聞いていればよい。』のように思考停止や依存体質になってしまう。前回ブログの心理的安全性が必要。
③知識と知恵の違いを伝える
その時だけ知識のみを身につけた状態なのに、”出来るようになった≒経験した”と錯覚に陥りやすいことがある。例えば、自己啓発本を読んだからって何かを成し遂げたわけでもないし、投資の本や話しを聞いたからって投資をした経験にはならない。得た知識を活かす方法や行動まで考えることが必要。
ということで、答えを教えてもそこから『どうしようか?』『何に活かそうか?』と考えることに直結することには繋がらないし、自ら興味があれば教えて欲しいと行動に移すわけなんです。
あまり力点を置いてない理由は、教えている立場でありながら相手次第の要素が多すぎるからです。
■『コーチング』【答えを引き出す】
重要視している理由は2つある。
・考え方を知ることができ、気づきを与えることができる
・論理的思考力を養い、主体性を高めることができる
例題:ダイエットの知識を備えている太った人がいます。
「〇〇の食材は〇〇の効果がある。タンパク質&炭水化物&糖質&脂質など、それぞれの効果を知っている。痩せるには食事と運動が必要だよね」こんな感じの人。
「せっかくダイエットの知識はあるのに、あなたは肥満(デブ)のままでいるの?」
A「いや~好きなものを好きなだけ飲食したいのよ。誘惑に負けちゃうのよ。辛い運動はしたくないのよ。別にこれで幸せだし。」⇒考え方を知れる⇒会話終了
B「そうだよね~。じゃあ、今日からダイエットをして5キロ痩せます。」⇒考え方を知れる⇒「具体的にどのような行動をするの?」⇒B「食事制限は無理そうだから、運動をしようかな」⇒「なんの運動をするの?どれくらいの頻度でやるの?」⇒B「走ることにします!一週間で累計10㎞は走る!」⇒「いつまでに5キロ痩せるの?-5キロの設定の根拠は?身長に対する標準体重はどれくらい?」
「生きていくうえで健康が大事だけど、肥満(デブ)だといろいろ弊害があるよね?」
A「健康診断の結果は悪いのよ。〇〇の数値が悪くって再検査なんだけど、面倒くさいから行ってない。でもまだ大丈夫でしょ。」⇒考え方を知れる⇒会話終了
B「健康診断の結果が悪いから、今は食事制限して運動をしているんだ。自分の身体だけど、家族や仕事にも迷惑かけないように始めたばかりだけど、今後も継続していくつもりだよ。」⇒考え方を知れる⇒「行動できてることが凄いよ♪どんな節制をして、どれくらい続けていて、どれくらい効果出てるの?家族も喜んでいるでしょ?」
「肥満(デブ)より痩せている方が印象が良いと思うけど、どう考えている?」
A「いや、仕事はできるから大丈夫。稼げるしお金もあるし。ってかさ、そんなこと言わないでくれる?」⇒「あぁ、ごめ~ん」⇒関わらない
B「そうだよね~。よくないよね。痩せたいけど何か良い方法ある?」⇒考え方を知れる⇒「まずは自分がなりたいゴールを決めて、具体的な行動計画を立ててみる?」
基本的に質問することで考え方を引き出すことに専念する。
Aの回答だったらコーチングしても効果が薄いor無駄だと思います。そもそも今の自分で良いという考え方で、言っても聞く耳がないので限りある時間を割く必要はない。
Bは現状を打開しようとしている。ゴール設定やゴールを達成するためのアクションプランが明確かどうかを確認したり、定まってなければ導き出すようにアプローチする。
自分の経験則や価値観で型にハメるようなことはやってはいけない。
そして、コーチングの中でも1番重要視している要素は『主体性』の成長についてです。
主体性を育むには、以下の方法が効果的であると思っている。
①目的の明確化⇒何のために行動するのか、自分の目標や役割を理解させる
②選択肢と意思決定の機会を与える⇒自分で考え、決断する経験を積ませる
③挑戦を促し行動するまでのサポートをする⇒行動に導く&させる
④失敗を許容する環境作り⇒失敗からでも学ぶ姿勢を養う
⑤フィードバックを活用⇒進捗や成果を共有し、気づきを与える ※次のテーマ
このように、考える機会や意思決定の場を提供し、挑戦と成長を支援すること。
知識はあるけど深掘りして考えられていない、ゴールが明確でない、ゴールに直結したアクションプランではない場合こそコーチングが重要になってくる。
一緒になって答えを導き出すので時間はかかるが、自ら気づき論理的思考で主体性を持って取り組むことができるようになれば、効果は絶大である。
■『フィードバック』【答え合わせをする】
成果に対して意見や評価を伝え、成長や改善を促すこと。
「スクワットしたら目標体重まで痩せました!あと今まで履けなかったズボンが履けるようになって、ウエストも細くなって疲れにくくもなりました!」⇒「おぉ!凄いじゃん♪ 目標達成以外にも良い効果があったね♪ 運動する趣味でも始めちゃう?」
「スクワットするって言ったんですけど、、、結局やってないので変わってないです」⇒「そりゃそうなるよね。続けられないってことだけどやめる? それとも、目標設定を変える? そもそも、何のためにやろうと決意したんだっけ?」
「いや~あとちょっと〇〇キロまでいったんですけどね~。」⇒「残念だね~。そのまま継続すれば達成できるなら続けたらどう? やろうと決意した時より成長してるってことじゃん♪」
何かに取り組んだことに対する結果が出ているので、アプローチし易い方法となる。
ただし、4つのことを注意している。
①具体性⇒抽象的な表現ではなく、数値や時間や係数など明確な評価基準要素を用いる
②タイミング⇒結果が出てから大幅な時間が経過していたり、途中の進捗管理を放置することがないようにフィードバックの時期を決めておく。
③建設的⇒成果が出なかったことや成功した結果だけではなく、要因から今後どのように取り組むべきか?に注力する
④双方向性⇒一方的ではなく、お互いの意見を話し合う
企業内の人事評価などは最たる例でしょう。
しかし、個人の成長を促すようなフィードバックをしている企業は少ない印象です。
そして、それ以上に自発的にフィードバックを求める人は少ない。
どのように答え合わせをするか?が大事になる。
■『ホーチング』【独自ルール】
知識やスキルが身についていて、言動がしっかりしていて、成果も出している人にはコレ。
だって、何も伝えなくても正しい方向へ突っ走っているんだから話しかけて足を引っ張る必要もない。
たまにコミュニケーションを取って意思疎通や考え方のすり合わせをすれば事足りる。
という理由から『コーチング』を重要視しています。
では、教育する側の人間として何を身につけなければならないのか?
例えば、プロ野球選手になりたい!と思っている人に「毎日素振り100回しとけ!」と指示してもプロ野球選手にはなれない。ちゃんとした指導者と出会わなければ、努力の方向性を正しく導くことができません。
なので、企業で教育する立場の人は指導者でなくてはいけません。
十人十色の相手に自分の経験則からなる独自の育成指導なのか。
教育方針に論理的根拠がある育成指導なのか。
指示待ち人間に育てあげる成長支援なのか。
自立支援型の成長支援なのか。
教育する側も教育される側も何に取り組むべきなのか問われている。
出来ることをやめる。できないことに挑戦する。新たな経験をする。
教えを乞い自分を育てることも教育である。