手紙

Business

「前略

1月26日△△踏み切り近くにてバックの引ったくりにあい困っているところを助けていただきました者です。

お礼のあいさつが遅くなって申し訳ありませんでした。

あの時はあまりの事に頭がまっ白になり自分は何も出来ず〇〇様には大変お世話になりました。

お金二千円と電話代をお返しさせていただきます。ありがとうございました。

あの後、世の中が急にこわくなってしまいました。本来でございましたら私のことをあきらかにしなければならないところでございますが、何とぞお許しいただきたくお願い申し上げます。」(原文のまま)

 

言っておくが、手紙を受け取ったのは私ではない。

これは11年前に、〇〇さんが人助けをしたエピソードである。

 

この日弊社で打ち合わせした後に、会社へ帰る途中、車を運転していた〇〇さんがスーパー近くの踏切で引ったくり現場を目撃した。

すぐに車を停め引ったくりにあって倒れているおばあさんに駆け寄り、散乱した買い物袋などを拾ってあげた。

携帯電話も財布もバッグごと盗られてしまったので、代わりに警察に電話し、警察が来るまで一緒に待ってあげた。

ほどなくして警察が現れ、早速おばあさんと一緒にいる○○さんがもの凄い剣幕で詰め寄られた。

残念ながら、、、

この〇〇さん、ガッチリ体型で坊主頭に髭、イカツイ外車に乗っていたのでだいぶ誤解されたのでしょう。

被害にあったおばあさんや他の目撃者から話しを聞き、すぐに誤解は解けた。

自分の出来ることはここまでだと判断し、無一文のおばあさんに「返さなくていいですよ」と2千円を渡したところ、おばあさんから「名刺を頂けますか?」と何度もお願いされ、名刺を渡し会社へ戻った。

そして後日、この手紙が会社に届いた。

というエピソードである。

 

自分がこの〇〇さんの会社に伺った際に、「先日の打ち合わせのあとに、こんなことがあったんですよ・・・」と、話しを聞き、手紙まで見せてもらった。

「こういう手紙って捨てられないですよね」って言っていたので、

「では、その手紙もらっていいですか?」とお願いして、自分が頂戴したのだ。

ってことで、手紙は今でも自分が保管している。

 

それには理由がある。

この○○さん、話しも面白く子供のように無邪気な笑顔で豪快に笑うが

「目配り」「気配り」「心配り」がハンパない。

スマートにこなすというか、自然と振る舞うというか、さりげなく行動するというか

良さげな形容詞が全て当てはまる感じだ。

 

楽しい場所&美味しいお店を知っており、いろんなところへ連れて行ってもらった。

焼肉に行けば、飲み物の注文はサッとこなし、肉を絶妙な加減で焼いてくれてお皿にまで乗せてくれる。

相撲観戦した時は、なぜか自分の名前のシールを作ってくれて、お土産まで持たせてくれて、さらに自宅近くまで送ってくれた。

「時間は大丈夫?」と夜遅くまで連れまわすことはなく、食事が終わったら自然と帰宅の流れ。

自分はお酒も飲まないし、煌びやかな女性がいるようなお店は好きではないから非常に助かる。

 

良い経験をさせていただいたことを忘れないように

自分もこんな”カッコイイ男”になりたいな

と思い、この”手紙”をもらったのだ。

 

ちなみにこの〇〇さん、8歳年上である。

 

○○さんには男の子がいるので、もう少し大きくなったらこの手紙を渡しに行こうと思う。

君のお父さんは”カッコイイ男”なんだよ。と。

素晴らしい人助けのエピソードと共に。

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