適応

Business

「最も強い者が生き残るのではない、最も賢い者が残るでもない、唯一生き残るのは変化できる者である」
進化論を提唱したダーウィンの名言である。

現代のハラスメントだらけの世の中で『昔はこんなの問題にならなかった』『いちいちそんなところまで気にしなきゃならねぇの』『面倒くせぇな~』と正直思うこともある。
世代別の考え方や価値観、多様性など時代の流れを素直に受け入れることができないのは『自分の経験や価値観によって考え方が凝り固まっている』からだ。そのような自分をぶっ壊さないと、柔軟な考えを持つことができず適応力がどんどん失われていく。ダーウィンに言わせると生き残れない者である。

『心理的安全性』という言葉をご存知だろうか?
職場やチーム内でメンバーが自由に発言し、自分の考えや疑問を表現しても否定や批判を受けないという安心感を指します。これが”何か?”というと、心理的安全性が高い組織はひと言で表現するとパフォーマンスが良いのだ。
実際に、Google社が4年かけて社内研究を行いその結果からも立証されている。
この研究は「プロジェクト・アリストテレス」と呼ばれ「生産性が高いチームは心理的安全性が高い」という結果となり、これを機に『心理的安全性』がビジネス界のバズワードとなった。

日本風に表現すると、『風通しの良い職場&話しやすい雰囲気』ということだろう。
何でも頭ごなしに最初から否定されたら「話したって無駄だろ」「どうせ話し聞かないんだろ」「はいはい。言われた通りにやりますよ~」になりますからね。

では、心理的安全性が高いとどのような効果が期待されるのか。

『いつでもどんなことでも聞いて~♪』の雰囲気だと、知らないことや不明点を聞くことができるようになる。
「なんだよ。そんなことも知らね~のかよ!」と、知識不足と思われることやバカにされるのでは?と不安を感じてた人は、気軽に聞きやすい環境となります。業務上のミス減少に繋がり、研修&教育内容を組み立てることができる。

『ミスしてもとりあえず状況は聞くから、早く報告してね~♪』の雰囲気だと、ミス発覚時からなるべく早く報告することができます。
「何やってんだよ!アホがぁ!!」って怒られてしまうのではないかと不安だった人も、言い出し易い環境となります。包み隠さず、すぐに報告相談することで適切な初期対応をすることができ、大きなトラブルへの発展を防ぐことが可能です。

『なんでも意見は発言していいよ~♪』って雰囲気だと、普段のコミュニケーションや会議で自発的に意見を発言できるようになります。
「何だそれ!?」「ちゃんと考えて言えよ!」「頭悪いなぁ!!」って、どうせ自分の意見なんて聞いてくれないでしょ!?と不安になっていた人も気兼ねなく発言できる環境となります。いつも発言している人の意見だけだと、成果物の可能性に限りがありますが、メンバーが自由に発言できると発言者全員の意見を共有&活用することができる。

さて、そんな環境になると組織全体として、どのような影響が期待されるのか。

メンバー同士の相互理解が深まりコミュニケーションの活性化が図れると、活発な意見交換ができるようになる。その発信された情報が財産となり、情報のデータベース化&共有化が可能となる。
そこから新たなイノベーションの創出がされたり、問題や課題に対しては組織全体で解決しようとする体制を構築することができる。
また、失敗やリスクに対する不安や恐怖に重点を置かなくなるので、新しいことへ挑戦することに抵抗がなく”成長”にシフトチェンジすることができる。できることだけをやっているというのは、成長ではないですからね。
成長していると実感できるようになれば仕事にやりがいを感じ、働く人のエンゲージメントが向上し、離職率低下が期待できる。また雰囲気が良いと人が集まり、新しく加入したメンバーもすんなりと組織に溶け込めることができる。逆に、不必要な人材だけ組織から離れることになるでしょう。

ということで、『心理的安全性』が高いとチームパフォーマンスが向上します。
夢のような組織ですね(笑)
 
 
では、これを行うにはどうすればよいのか?
まず着手するには、経営陣や役職者などが『心理的安全性』について理解し、雰囲気作りからスタートです。
そして、心理的不安を抱えていた人たちが、上記のような行動に移すことができれば初期設定完了となります。

ただし、ここで大きな勘違いをしてはいけないことに留意する。

そもそも会社の目的とは何でしょうか?
『事業を行い、利益を追求する法人』です。

なので、何を言っても良い雰囲気だからって、会社の目的から外れるような言動はいけません。
「コイツは使えない」「アイツは辞めさせたほうがよい」「私の方が能力が高い」「〇〇部署がダメだ」「ウチの商品&サービスはクソだ」など。
商品の内容やサービスを把握していないのに文句を言ったり、他人の悪口などで人材流出したら組織の損失に繋がりますからね。何でも言いやすい環境だからといって、ルールがある組織で”個人的な感情のみ”で発言しまくるのはNGです。
話題も、過去の話しや愚痴や自慢話、家族やプライベートの話しばっかりしているのは論外です。
多少の時間で相手に迷惑かからない程度や相手との関係値を築くためなら良いと思いますが、基本的に休み時間や時間外にやるべきこと。
自分が話したいことを好き勝手に発言していると『この人はこんな内容の発言をするんだ』と周囲から評価されてしまいます。
【好きなことを言ってもいいから発言した≒良い評価】には繋がらないということです。

「生産部の歩留まりが悪いのは〇〇が原因と思われるので、対策として〇〇をしましょう」
「〇〇についての知識が不足しているので、社内で〇〇についての研修を行いましょう」
「ウチの〇〇サービスはお客様の評価が良いので、このサービスをもっと周知して売れるように〇〇しましょう」
「そもそも〇〇について理解していないので、教えていただく機会を作ってくれますか?」
「〇〇の仕事ができるようになりたいので、そのためには何の経験が必要でしょうか?」
など、ポジティブな行動を起こすような発言が望ましい。

『私は〇〇という役職だから偉いんだぞ』『私はいろんなことを知っているんだぞ』ではなく『現状分析すると〇〇だから、その課題に対して〇〇をした方が良いと考え、すぐに〇〇の行動をする』
これがダーウィンの言っていることでしょう。

また、法人の目的である『利益を追求する』とは「売上取ってこい!」だとか、「コストカットする!」ような数値に直結するアプローチもありますが、個人的には『資産(人、モノ、金、IT、情報、時間)の生産性を上げる』ことの方が利益アップの伸びしろが大きいと考えています。

『企業と人の成長を大切にする経営支援カンパニー』
理念に通ずるところがありました。

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