「学歴って必要なのか?」
この問いは幾度となく議題にされていたであろう。
そして、議論はだいたい2つに分かれる。
学歴なんて関係ない派
いやいや重要でしょ派
どちらも間違ってはいない。
判断する人の立場や年齢、自己の経験則
それぞれ判断基準が違うから、意見が割れるだけ。
なので、前提条件があればどちらが良いのか見えてくる。
例えば、『新卒を採用する大手企業の採用部署の立場』で考えてみた。
■5つの要素に分類
①足切り基準
学歴の細かな中身を見ているわけではない。『外さないための確率』を見ている。
どういうことか?というと、要は足切りラインをある程度決めている。
シンプルに表現すると”短時間で応募者の中から選ぶ”わけだ。
応募者数が増えれば増えるほど、全員をじっくり見るなんて無理。
なので、一定のフィルターが必要になり、そこで使われる要素として『学歴』が基準になる。
② 判定要素
新卒の場合は職業歴がない。
なので、学歴を参考にせざるを得ない状況。
・与えられた課題に対して継続して取り組んでいるか?
・競争に耐えられるか?
・その結果どうだったのか?
これをわかりやすく示しているのが学歴。
「努力の履歴書」としての判定要素となっている。
③ 投資回収確率論
採用後は、コストがかかる。
教える時間は計り知れない。
だから企業は考える。「この人、回収できるか?」と。
学歴が高い人は「教えたことに対して吸収が早そう」「目標に向かって努力しそう」と思われやすい。
今後伸びそうと思うところに投資するのは、定石である。
④ リスクヘッジ
採用って外すと痛い。時間もお金も費やしたのに人材を失うからだ。
だから、人材を失った時「どういう基準で採用しているんだよ」という問いに備えたくなる。
・学歴あり⇒入口の選択として「まぁ仕方ない」と言える
・学歴なし⇒「なぜ採った?」と言われる
つまり学歴は“安全牌”として機能するので、合理的かつ保守的な選択として理がたつ。
失敗した時の責任が少しでも軽くなり、納得感があるものにしたい。
⑤ コミュニケーションコスト
思っている以上に”会話のズレ”で人は疲弊する。
これって会社でも当てはまるが、家族間や友達&恋人同士でもそう。
学歴が近い人同士だと、勉強ができる・できないという話ではなく
・言語感覚
・思考のプロセス
・共通体験
などの前提条件が近いからズレにくい。
OSが共通しているため、情報のやり取りがスムーズになる。
さて、ここでもう一度、前提条件を。
『新卒を採用する大手企業の採用部署の立場』
これであれば、学歴は必要である。
良い学歴であればあるに越したことはない。
では、なぜ必要なのか?
学歴はあくまで『入口の最適化』に過ぎない。
では、取り組むべきかどうか?の判断は。
自分がこれから歩むべき道で必要であればやる。
まだ何も決めてなくても、選択肢が広がるのでやる。
学歴以外の”強み”で勝負するなら、やらなくてもいい。
わかっちゃいるけど、努力を継続することが難しいんですけどね。
なので学力成績という『努力ログ』なんです。
もう少し進めてみて、職に就いた直後を想定。
入社したばかりの時は、何もわからない状態。
学生で例えると『国語、算数、理科、社会、英語』の教科書が渡され、授業態度や定期テストでの点数によって成績に反映されますよ。
こんな感じでしょうか。スタートラインは皆一緒です。
「この仕事は、自分のやりたいことじゃないんだよね」⇒「この教科書はやりたくないからやらない」⇒好成績は取れない。
「この仕事はやりますけど、こっちの仕事は苦手なんでやりません」⇒「算数は好きなんだけど、社会は興味ないから勉強しない」⇒好成績が狙える科目もあるが、弱点の科目もある。
「まずは与えられた仕事について、一生懸命取り組んでみるか」⇒「全ての教科を万遍なく勉強する」⇒全ての科目で好成績が狙える
スタートの時点で、だいぶ違いますよね?
『努力ログ』があった方が、有利な勝負になりそうです。
さて、ここまでを『新卒を採用する大手企業の採用部署の立場』にして、ここからは『職業人ゾーン』へ突入しましょう。
現実はこういう人が存在する。
・高学歴でも仕事ができない人はいる
・低学歴でも突き抜ける人はいる
そうなんです。
仕事を始めてしまうと正直学歴で左右されることが圧倒的に少なくなる。
それは、なぜか?
組織への”貢献度”と”成果”で評価されるから。
評価すべき内容が別物になるんです。
評価されないとこんな声が聞こえてくる。
「性格悪いし、プライドは高いし、トラブル起こすし、学歴はいいんだけどね〜。」
「同じミスを何度もするし、覚えが悪いな〜。まぁあの学歴だしな〜。」
結局、学歴は”評価される理由”ではなく、”言い訳かレッテル”として使われることがある。
企業の募集要項には、求めている人材が記載されている。
・コミュニケーション能力
・誠実な人
・勤勉な人
・前向きな人
・責任感があって最後まで仕事をやり抜く人
・チームワークを大切にする人
・定期的に運動している人
このように学歴以外にも評価される要素は多い。
学力では1点に重みがあり、1点差で成績が変わることがありますが『国語のテストが80点以上の人を募集』なんて書いていることはない。
では、ここで『仕事に就いて20年後の社会人』という前提条件にしてみましょう。
「部下や同僚が使えない奴ばっかり。上司もクソなんだよね。」
「何のために仕事してんだよ。」
「なるべく休みをもらって、楽な仕事して、責任も取らずに、なるべく高い給料をもらいたいもんだよね。」
「だって自分は◯◯高校出て、◯◯大学卒だよ。せっかく苦労して会社に入ったんだから面倒見てくれないと。」
素晴らしい学歴がある人でも、こういう人は実際に少なくない。
小学校6年、中学校3年、高校生3年、大学生4年=トータル14年の『学力の努力ログ』が素晴らしい40代が、こんなことを言っていたら『社会人としての20年間の努力ログ』は、どうなんでしょう?
はっきり言えるのが、このフェーズでは”学歴の重要性はほぼ意味を持たない”。
むしろ『人間性』の方が重要ということである。
学歴とは、『前提条件によって、重要度が変わるもの』である。